2010年11月25日

神戸特集(3):奇跡の残像

神戸の街づくりには「神戸の奇跡」があった。神戸市の二つの人工島、「ポートアイランド」と「六甲アイランド」の開発が神戸に奇跡を起こした。
埋立てのための専用コンベアが長く須磨浦に設置されて、土砂運搬船が埋立地とコンベア間を往復していた。これで山をけずりニュータウンが造られ、人工島の埋立てが行われていた。

私は四国航路の客船に乗る機会がよくあったのだが、明石海峡を通過する前によく見えていた。1970年代のことで街づくりの一石二鳥というわけだった。
ポートアイランドの完成を記念して、1981年に開催されたのが「神戸ポートピア博」だった。地方博とは思えないインパクトがあり、この大成功は地方博ブームとなって全国に波及し、神戸の後に続く自治体が続出した。先端を走る都市をまざまざと見せつけたのだった。

ポートピア博にあわせて、ポートアイランドに最初にオープンした超高層ビルが「神戸ポートピアホテル」だった。白亜の超高層ホテルで、船体のイメージのような曲線を描いた楕円形の超高層。そのカッコ良さはその後できた「ホテルオークラ神戸」も「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」も、「ポートピアホテル」のカッコ良さを越えていない。
このホテルの出現は、計りしれないインパクトになった。おそらく神戸イメージの最強の立役者になったと思う。

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神戸ポートピアホテル本館。南館も増築されている。(今回の写真は私の撮影画像がないため、すべてウィキペディアから引用)

でも、神戸の隆盛はそれだけではなかった。重工長大の時代でもなかったが、神戸には特色のある企業がけっこうあった。カッコ良さを売りに、アパレルや真珠といったファッション関連企業の隆盛があった。
それらの企業がポートアイランドの企業街区に集結して、街の中核を形成することになった。ファッションタウンと呼ばれたが、これは消費者相手ではない企業の中核・業務街区だった。都市にとって最も重要な機能が都心業務機能だから、これは神戸の隆盛を物語っていた。
やっぱり本音をいうと、工場や研究所ではダメだと思いますよ。都市はオフィスの集積がないと。管理部門や営業部門が重要ということ。就業人口もちがえば、重要度もちがう。

神戸ポートピア博から3年、ポートアイランドの企業街区の整備も進み、1984年3月、ひとつの企業本社ビルが完成した。
神戸ポートピアホテルに続き、ポートアイランドで二つ目になる超高層ビルだった。この企業本社ビルは、直方体の白亜の超高層ビルだった。
地上31階・高さ111.4mのポートピアホテルに対し、企業の本社ビルは地上27階、高さは神戸ポートピアホテルを上回る117mだった。

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ワールド本社ビル

何を隠くそう、このビルこそ神戸の奇跡のシンボル、象徴ともいえる「ワールド本社」である。
神戸っ子なら知らないひともいないほどの超有名企業なので、よく知られた会社だが、他の都市の住民なら意外に知らないひともいるかもしれない。
当時、ワールドは有名企業というだけでなく、高収益や高成長でよく話題になっていた。私も最も注目していた企業だった。

ワールドの何が、そんなに注目されていたのか? 理由は簡単だった。
1959年発足、この会社はたった二人で創業した零細企業だった。その会社がポートピア博の開かれた1981年、わずか20年で1000億円企業に成長していた。
しかも優良企業というだけでなく、儲かりすぎて神戸市にポン!と20億円の寄付をしていた。さりげなく使ってくださいと、まるで子供にお年玉をあげるような風情で。
それで神戸市はポートアイランドに「ワールド記念ホール」を建てたのだった。ワールドのおどろくべき急成長は経済界で注目されたのは当然といえた。

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「ワールド記念ホール」大阪城ホールに匹敵する多目的ホール

ワールドをアパレル企業、ナンバーワンの地位に押し上げた人物は淡路島出身のひとだった。たぐい稀な経営力によって、ポートアイランドに白亜の超高層本社が完成していた。それから2年後、私は偶然にその社長に出会った。
あの京橋OBP、松下興産のツインタワーのオープン後の最初の日曜日、ツイン21の見物に行った帰り、京橋プロムナードで、これからツインタワー見物に行くワールドの○崎社長とすれ違った。「あっ!○崎さんや」と声が出そうになった。私ははっきり顔を知っていたので、間違えようもなかった。

神戸の奇跡はダイエーでもなければ、ジュンク堂でもない。ワールドとするのが正解と信じている。ワールドを語らずして神戸を語るのはモグリである。
次回は神戸の奇跡、アパレル・メーカー、ワールドについて書くことにする。神戸特集はすくなくとも4回以上になります。



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posted by マッチ at 21:41| Comment(0) | 神戸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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