2010年11月23日

神戸特集(2):梅田集中の潮流

来年5月の大阪駅全面開業まで約半年に迫った。かつて経験したことのない規模の百貨店・専門店街がオープンする。ノースゲートビルに開業するJR大阪三越伊勢丹にルクア。大丸梅田店も増床オープンで迎え撃つ。阪急梅田本店の全面開業はさらに一年ずれ込み、平成24年のオープンを予定しているが、神戸にとって逆風が一層強くなる。

大阪駅改良プロジェクトというきっかけがあったにしろ、ここにきて、大阪企業の大阪回帰が鮮明になった。とくに百貨店業態の大阪都心店舗は全面戦争の様相である。
阪急梅田、大丸梅田、高島屋難波、近鉄阿部野といったターミナルデパートのすべての店舗が大増床に向けて動くことになった。

一方、近畿に限っても京都、神戸ではデパートの撤退が相次いでいる。京都では近鉄京都店の閉鎖、売却に続いて、今年は四条河原町阪急の閉鎖撤退があった。神戸でもハーバーランドの神戸西武の閉店に続いて、神戸阪急の不振が伝えられており、高層ビルの並ぶこの地区も、見た目と裏腹に入れ替りが激しいようだ。
京都も神戸もデパートは大阪企業であり、厳しい経済状況下で大阪企業も足元の強化、見直しが迫られた。これまでは大阪の儲けの余力を、周辺の出店に回すこともできたが、本丸の放置は企業存続の危険性が持たれ、大阪市場の認識を新たに、再構築の決断が下された。

大阪再集中化の潮流の意味するところは、近畿圏の都市機能のバランス適正配置、再構築の意味合いが強い。阪急・阪神は鉄道・流通経営のエキスパートであり、鉄道路線網による沿線の実体も把握している。
表面的に見ると、大阪市人口260万人に対し、神戸市や京都市の人口規模は約150万人程度だから、大阪との規模の差は2倍もないように見えるが、沿線のほとんどが兵庫県の両社は、そんなウソは百も承知のこと。
残念ながら、事実は神戸市、京都市の人口というのは過大評価で、逆に大阪の都市規模は話にならないくらい、過少評価の数字というのが実体である。神戸・京都に対し大阪の規模は、すくなくとも最小の数字で4倍の規模と認識してほしい。(兵庫県内の人口を含めない最小の大阪の人口規模)

現在進行中の大阪の再開発は、大阪の都市規模に見合った施設配置の再構築の動きといえる。長年のネガ情報による大阪の過少評価に、阪急もだまされてきた面もあった。神戸・京都については過大評価が露呈する格好になった。
となりの芝生が青く見えていたが、じっさいはおいしくなかった。だから撤退が相次いだ。お人好し大阪企業も足元の大阪がいちばん儲かることに気付いたのだった。

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西宮北口の兵庫県立芸術文化センター、阪急西宮ガーデンズとともに阪神間の新たな拠点になった。

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JR尼崎の「ココエ」も阪神間地元に引きとめる拠点になった。

さて、梅田集中化によって、神戸は苦境になることはたしかである。梅田集中化だけでなく、西宮北口に「阪急西宮ガーデンズ」、JR尼崎に「尼崎ココエ」といった大型のSCがオープンしたのも、神戸にとっては逆風になった。

西北ガーデンズやココエはクルマが使える。阪神沿線の甲子園付近にも続々とSCが進出している。これらは普段の買い物やシネコンもあるので便利である。
梅田は通勤で使う街であり、地元SCとの使い分けができるようになった。これで芦屋・西宮・宝塚といった阪神間の人たちは神戸に行く用事がなくなってしまった。年に一度か二度、ルミナリエ観光やハーバー散策に行けば十分というわけである。
観光都市への凋落現象は神戸の将来に対する暗雲ということになる。実質経済に手を打たないと、観光的整備だけでは凋落に歯止めがかからない。「阪急・阪神」は梅田メインと西宮補完拠点の両面作戦で阪神間の需要を吸い上げてしまった。

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神戸旧居留地は見事に成功した例になるが、神戸ッ子を引きとめられるか?

神戸の残された道は、地元神戸っ子の買い物を神戸に引きとめるくらいしかない。地元民流出防止策になるだろう。これも昔から大阪へ通勤するひとは多数存在していた。京都も同じであり、神戸以上にひどいのが京都で、京都の方がやや独立性があるのは、決定的に距離が違うことによる。
大阪からの距離はざっくり神戸まで30kmに対して、京都までは40km以上(JRの大阪−京都間キロ程は42.8km)。中心市街地間になるともっと距離が広がる。この差は大きいので、仕事の都合などで京都から大阪に転居したひとはかなりの多数に上る。

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梅田一極集中はしばらく続くだろう。この影響は大阪市内だけでなく、神戸・京都にとって脅威になるのは必至といえる。何しろ天王寺からと、三宮から梅田への時間が変わらないのが現実。大阪のターミナル百貨店は私鉄本拠地になるので、いち早く手を打ち、背水の陣で迎え撃つ態勢になるが、神戸・京都に関してはどうなるか未知数である。
実質規模まで急落が始まるかもしれないが、規模に見合った評価までくると、下げ止まることになるから、最終的には適正経済規模が、それぞれの小売市場規模で落ち着くことになるだろう。




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posted by マッチ at 17:03| Comment(0) | 神戸 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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